教科書に棟方志功の作品が紹介されている。その題材名は「響き合う言葉と絵」。
草野心平の詩を板絵にした作品で裏彩色が美しい。そこで、生徒に心に響く言葉を見つけさせ、墨と筆で書いて版を刻み、刷った作品に裏彩色を施す授業を構想した。実施は新型コロナウィルスによる休校開け6月からスタート、2学期までかかったが展開は以下の通り。
1時間目 言葉を探す … まず教科書を鑑賞。棟方志功の板絵を紹介し、心に残る言葉を刻もうと投げかける。すぐに言葉が見つからないことは予想されるので、ワークシートを準備。言葉を見つけ出す手だてとして、「五常」を引用。「仁義礼知信」を解説し、あなたにとってどれが一番大切?などと問う。次に日頃の生活で何を大切にしている?と訊いてみる。1時間目終了時に次回までに言葉を探してくる課題を出す。大切な言葉、心に残る言葉であればたとえば好きな歌の一節でもよいし、好きなアニメやマンガの主人公の言葉でもよいなど、広げるだけ広げて見つけてくるように促す。
2時間目 言葉を書く … 墨と筆を用意 A4サイズの紙に言葉や詞の一節、セリフなどを出来るだけ大きく太く書かせる。紙を十分用意し、納得のいくまで書かせる。ここで、めんどくさがりの生徒には①漢字2文字の「努力」「誠実」や②四字熟語の「一期一会」だの「初志貫徹」など文字が少ないと手早く制作できるぞ!とアドバイスする。課題をきちんとしてきた生徒で、文字数の多い生徒には出来るだけ太く大きく書いておくようにアドバイスする
3時間目 言葉を写す … 墨と筆で書いた下絵を裏返して版木に貼り付け、カーボン紙で版木に文字を転写する(早い生徒は彫り始める、言葉がうまく書けない生徒には引き続き習字をさせる。習字をした生徒には版木に転写させるなどさまざまな作業となる)次回には彫るので、自宅からマイ彫刻刀を持参するように言っておく。※ここで進度差が生じたのが後々響くことになる。
4時間目 言葉を刻む … 彫刻刀の扱いを指導し、彫り始める。(ここでもまだ言葉が決まらない生徒がいる 版木に転写する生徒もいる状態)
5時間目 言葉を刻む2 …引き続き彫らせる ここで1学期が終了 続きは2学期とするが決まっていない生徒には言葉を決めさせる
6時間目・7時間目 … (2学期に入る) 7時間目には2文字程度の漢字にした生徒は彫り上がるので試し刷りをし、修整彫りをさせる (かなりの進度差)
8時間目 文字を刷る… 刷りの仕方をレクチャーする 半分以上まだ彫れていない
9時間目 文字を刷る・裏彩色をする… 4枚刷り上げた生徒から順に裏彩色を施す
試し刷りの作品から お試しで裏彩色をする(紙は染紙)かなり水を多くして彩色しないと表面に染みてこない 説明するよりやってみるのがわかりやすい
10時間目 裏彩色 … 4枚の作品に裏彩色を施し、一番いいものを提出
11時間目 裏彩色2 … 出来上がった生徒には 作品提出表を書かせたり、ラミネートフィルムに挟ませて、ラミネートするなどして時間を作る それでも出来ない生徒は放課後残って完成させるようにする
結局 完成までに12時間くらいかかってしまった。
反省点 もっとも時間がかかったのが「言葉を探す」こと。事前に言葉を決めさせておいてからスタートするべきだった。前の題材が進んでいるうちに進めておくとよかった。
文字数が多いと時間がかかり、漢字2字とした生徒とかなりの進度差を生んでしまった。